理解しにくい
医学研究用語

有害事象、副作用、合併症、重篤

語の説明

「有害事象」とは、医薬品の服用後に起きた、あらゆる健康上の問題のことである。医薬品との因果関係が明らかなものだけでなく、関係が確立していないもの、未知・不明なものも広く含む。 「副作用」とは、医薬品による作用のうち、本来の作用(治療)以外の作用のことである。ワクチンの場合には「副反応」の言葉が用いられることもある。「合併症」は「ある病気が原因となって起こる別の病気*」である(こちらの図も参照)。用いられる文脈によってどの定義が該当するのか注意を要する。
「重篤」は、これらの程度を示すときに用いられ、「病状が非常に重いこと*」を指す。

*国立国語研究所「病院の言葉」委員会『病院の言葉を分かりやすく-工夫の提案-』2009年

一般の人の理解・認識

「有害事象」の認知率は10.7%と低かった。そのため意味を語感で判断することが多いと思われる。多くの人は「有害事象」と聞くと「薬との関係がはっきりした害」を連想していた。また、21.8%の人が「有害事象」があると薬として「失敗作」であると考えていた。
「副作用」の認知率は84.9%と高かった。ただし、「副作用」が指し示す範囲を広く捉える人、どの薬にも副作用があることを知らない人が一定数いることに注意が必要である。

ポイント

有害事象については、用語自体が認知されていない。必要があって使う場合には、「有害事象=副作用」ではない場合が多々あること、薬との関係がはっきりしない要因も含むことを補足すると良い。
一方、副作用は認知度が高い分、一般の人が想像する範囲は多様である。薬がもたらす効果、起き得る害や影響をわかりやすく、具体的に解説することが求められる。

例えばこんな言い換え使い方

言い換えることも選択肢であるが、起き得る害や影響をわかりやすく具体的に解説することが本筋である。

言い換え例

有害事象 →
「医薬品を飲んだ後に起こった健康上の問題のことです。薬との関係がわかっていないものも含みます。」

副作用 →
「薬を飲むと、本来の目的以外にも、さまざまな作用が生じます。これはどの薬でも起きることがあります。」

更新・確認日:2023年8月7日 問い合わせ先:医療情報をわかりやすく発信するプロジェクト事務局