理解しにくい
医学研究用語

QOL

語の説明

「QOL(キューオーエル)」は、「Quality Of Life」の略である。「生活の質」と訳されることが多い。しかし、「Life」には、「生活」だけでなく「生命」「人生」の意味もあるため、広く「生活の質」「生命の質」「人生の質」にまたがった主観的な評価を指す用語である。医学の領域では、「病気や加齢によりそれまで通りの生活ができなくなった人が、これでいいと思える生活の状態のこと*」を指す。

*国立国語研究所「病院の言葉」委員会『病院の言葉を分かりやすく-工夫の提案-』2009年を一部改変して作成

一般の人の理解・認識

一般では、普段の生活の快適さを表す言葉として使われることがある。認知率は24.7%であった。また、「Quality Of Lifeの略である」や「生活の質」だと知っていても、患者や家族の感じ方(主観的な概念)を重視した概念であることを理解している人は53.8%で、「病気になる前と同じ生活の状態」と答えた人が24.3%いた。したがって、医学系研究の用語としてはあまり理解されていない。
医療者の41.4%も「年齢相応の生活の状態」と考えており、患者の主観的な概念であると考えていた人の37.8%を超えていた。

ポイント

研究者や医療者は、日常生活動作(ADL)や種々の尺度(ものさし)で測った客観的な数値を示す用語として狭義の意味で使っていることがある。したがって、一般の人と認識が異なり、誤解が生じやすい。しかし、この用語は、医療や介護の現場で、患者が現在の生活の満足度を一言で表現するのに最も適切な言葉であるので、そのままの用語を使い、補足説明する。

QOLとは

例えばこんな言い換え使い方

補足説明例

「この試験では、○○の治療をした人の方が、日常生活での体の動きや不安が少なくQOLが高かった。」
「高齢者への治療では、生きがいや年齢相応の生活ができているといったQOLが向上した。」
「この人は、同じ年代の同じ病気の人よりも、よく食べたり歩いたりできていてQOLが高い。」

更新・確認日:2023年7月18日 問い合わせ先:医療情報をわかりやすく発信するプロジェクト事務局