有効性、安全性
- 注意
- 一般の日本語とは使い方が違います
語の説明
医学系研究において、「有効性」「安全性」は、多くの場合に組み合わせて使われる。
「有効性」は英語では「efficacy」「effectiveness」などにあたる。前者は「実験や治験など、理想的な条件で得られる治療の効果の高さ」を示し、後者は「臨床現場など、現実の世界で得られる治療の効果の高さ」を示す。日本語では両方を「有効性」という。
「安全性」とは、「人への危害または損傷の危険性が、許容可能な水準に抑えられているかどうか」を表す言葉である。
一般の人の理解・認識
「有効性」を「efficacy」とした設問に対する正答率は74.1%であった。一方、専門家の「有効性」の正答率は2割程度であった。専門家が日本語で有効性と言った場合、「effectiveness」の意味を意識している人が多いと考えられた。
「安全性」の正答率は44.5%であり、半数以上が「ある薬などが体にとって全く悪い影響がない」という誤った記述を正しいと考えていた。
- 一般の日本語での「有効性」の使われ方
-
法律などの効力があることを表現する際にも用いられる。
例)手続きの有効性が問われる
ポイント
「有効性」という用語は英語の「efficacy」と「effectiveness」の両方の意味を持つため、使う人によって意図が違う可能性がある。したがって、「有効性」という用語を使う場合は、自らがどちらの意味で使っているのかを明示することが適切な理解につながる。「efficacy」の意であるときに、患者などの読み手に実際の治療で効果があったとの誤解を与え、過度の期待を与えないように注意する。
一方で「安全性」は、(医療の場合は主に人体に対して)危害を与える可能性があるかどうかを評価する指標であり、リスクが皆無であることを示すわけではないことに注意し、説明するとよい。
例えばこんな言い換え使い方
万能な医療はないことを伝えてから
有効性 →
「efficacy 」の場合「薬などの効果が、研究や実験の結果からどれくらい期待できるか」
「effectiveness」の場合「薬などの効果が、実際の治療の現場でどれくらい期待できるか」
安全性 →
「人体に対して、無視できないほどの害がある確率が高いかどうか」