理解しにくい
医学研究用語

エビデンス

注意
一般の日本語とは使い方が違います

語の説明

医学系研究では、「この治療法がよいといえる証拠。薬や治療方法、検査方法など、医療の内容全般について、それがよいと判断できる証拠のこと」*を指し、「科学的根拠」と同じ意味で使われる。一般的には複数の研究が同じ結果を指し示すことを証拠と考える。

一般の人の理解・認識

医学系研究以外でも使われる用語であり、日本語訳である「証拠」や「根拠」があるためか、知っていると答えた人が多かった(認知率53.8%)。そのうち「ある治療で素晴らしい効果があったという1つの臨床試験の結果のこと」だと考えていた人は45.7%で、認知していた人のうち半数程度は正しく理解していなかった。

一般の日本語での「エビデンス」の使われ方

漠然と証拠、根拠と言いかえできることが多く、複数の証拠の積み重ねというニュアンスは伝わりにくい。

例)エビデンスなしに行動を制限するのは難しい
〇〇の方が有利というエビデンスはない

ポイント

医療の領域では、たとえ素晴らしい効果があったという研究であっても、多くの場合、1つの研究だけで「エビデンス」があるとはいえないので、誤解させないように伝える必要がある。
新型コロナウイルス感染症の情報で耳にする機会が増えたと思われるが、正しく理解されていない可能性が高いため、言い換えたり、補足説明をしたりするとよい。

例えばこんな言い換え使い方

言い換え例

「エビデンスがある薬」 → 
「よく効くことが(いくつかの)研究によって確かめられている薬」

「エビデンスに基づく治療」 → 
「(いくつかの)研究の結果、これがよいと証明されている治療」(文脈に応じて日常的な表現で言い換える)*

*国立国語研究所「病院の言葉」委員会『病院の言葉を分かりやすく-工夫の提案-』2009年

更新・確認日:2023年2月28日 問い合わせ先:医療情報をわかりやすく発信するプロジェクト事務局